赤木 遥

love letter

「俺を記録してほしいんだ」と言われたのは、彼に軟部肉腫という悪性腫瘍が見つかった日の夜だった。それから、私は記録としての写真を撮り始めた。

写真の中はずっと過去で、でもその中の写真は永遠だから、もしこの人が死んで、ここに身体がなくなってしまったとしても、写真の中で生き続けてほしいと思っていた。生きていることを残すとか、絶対に死なせないのだと思っていた。
どんなときも、あなたが生きていることを全肯定したい。
そのための写真だった。この人をずっと見続けると決めた。

今、私たちは恋人ではない。
家族のようで家族ではなく、友達とも呼べないこの関係を、これも愛と呼べるだろうか。正直に言えば、これは他の誰でもなく、彼に向けての写真たちなのだ。

彼は今日も生きている。
生きていれば、それでいい。

 

© HARUKA AKAGI 2024