赤木 遥

letters_2019

2019.10.31_11.25 tokyo / book obscura

2017年、love letter という写真展をした。
2018年、love letter という写真集を出した。
そして、ここでもう一度 love letter の展示をして写真集を出す。

以前は一人に向けての写真で、写真集だった。
写っているその人に、新しく生きていこうと言いたかった。
この人の生きてきたこれまでとこれからを、写真で全肯定するのだと。

時間を経て今は、これまで私の写真を見てくれた人や、これから出会う新しい初めましての人に向けても、写真は生命賛歌で美しいものだと、伝えたいと思うようになった。
誰か一人へ向けての写真が、他の誰かにとっても大切なものとして届くのだと私に教えてくれたのは、love letter を見にきてくれた人たちだった。
私のことも、写っている彼のことも知らないひとが、写真を見て泣いたり微笑んだりする姿を見て、写真は私の手を離れて、その人の生きている時間と重なっているのだと体感した。
写真を間にして、あなたに会えて嬉しい、と思った。

いつもの景色はいつだって特別な景色で、忘れた方がいいことも忘れたくないことも、写真は等しく写って、残してくれる。
今日も明日も、目の前の風景は愛しく美しい。
そうして私は写真を撮り続けていく。あなたも私も生きている。そのことがたまらなく、嬉しい。

© HARUKA AKAGI 2024